死者の鼻歌

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 急いでユウナのスマホに電話した。しかし繋がるのは留守電ばかり。コールすらしないため、スマホの電源を落としているのだろう。  何度連絡しても繋がらず、諦めた俺は、ユウナが戻ってくるまで待った。  しかし、ユウナは戻ってこなかった。  折り返しの連絡もなかった。  不安と心配は、最初の一週間だけ。一月も経つと、俺は完全に開き直っていた。  向こうがその気なら、お望み通りにしてやろう。マリのこともあったのだ。丁度いい。  そう思い、離婚届に判を押すと、不安がスーッと消えた。  離婚届を役所に提出すると、心が晴れ晴れとした。  マリは若い。子どもを産んでも楽しめるだろう。  晴れて自由の身になった俺は、マリと結婚した。  産まれた子どもは、女の子だった。  丁度その時だっただろうか。  ユウナの遺体が発見されたのは――  話を聞いたときはショックだったが、日々の忙しさによってすぐに忘れ去られていった。  それから十六年が経った。
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