11人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
急いでユウナのスマホに電話した。しかし繋がるのは留守電ばかり。コールすらしないため、スマホの電源を落としているのだろう。
何度連絡しても繋がらず、諦めた俺は、ユウナが戻ってくるまで待った。
しかし、ユウナは戻ってこなかった。
折り返しの連絡もなかった。
不安と心配は、最初の一週間だけ。一月も経つと、俺は完全に開き直っていた。
向こうがその気なら、お望み通りにしてやろう。マリのこともあったのだ。丁度いい。
そう思い、離婚届に判を押すと、不安がスーッと消えた。
離婚届を役所に提出すると、心が晴れ晴れとした。
マリは若い。子どもを産んでも楽しめるだろう。
晴れて自由の身になった俺は、マリと結婚した。
産まれた子どもは、女の子だった。
丁度その時だっただろうか。
ユウナの遺体が発見されたのは――
話を聞いたときはショックだったが、日々の忙しさによってすぐに忘れ去られていった。
それから十六年が経った。
最初のコメントを投稿しよう!