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気付けば鼻歌は止まっていた。
ハッと顔を上げると、アオイが無表情でこちらを見つめていた。
水が流れる音が響く。
水音に混じって、アオイの言葉が俺の耳に届く。
「年取った身体に反応しないのよね?」
アオイの口角がニィッと上を向いたかと思うと、何事もなかったように皿を洗い出した。俺が知っている、いつも見ている娘の表情だ。
だが、
「~♪」
娘が奏でる、死者の鼻歌だけは止まらない――
<了>
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