11人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
昼休みになった。
三人の職員はカトリさんを探したが、役場の中にはいなかった。
何でも町おこし協力隊の仕事で、この町の山の中にある棚田の写真を撮りに行ってしまったらしい。
「一人で行ったらしいよ」
「よし、後を追おう」
「えっ?」
「あそこの棚田はクマやイノシシが出るかもしれないから、一人で行っちゃダメなところなの。移住してきたばかりで知らないんだよ」
「でも、そうすると、昼休み中に戻ってくるのは無理だよ」
棚田は意外と遠いのだ。
しかし、課長がこれに許可を出した。
課長はカトリさんが一人で棚田に出かけて行く時、何も考えずに呑気に送り出していたのだが、三人の会話を聞いて、ことの重大さに気付いたのだ。
かくして三人の職員は、カトリさんを追って山の中に車を走らせた。
しかし、棚田に着いても、周辺にカトリさんの姿はない。
「どこいったんだろう」
「車はあるのに…」
その時、一人がちょっと離れた棚田の中に、カトリさんがいるのを見つけた。
「あそこだ」
最初のコメントを投稿しよう!