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どうしてカトリさんの歌を聞くと、魂が抜けるようになったのかは不明である。
感動のあまり抜けるのかもしれない。憶測にすぎないが。
しかし、カトリさんはくじけた訳ではなかった。
カトリさんは決めたのである。
魂を抜かずに歌う方法を習得してみせようと…!
だから…。
「限界集落なら人が少ないから、思いっきり歌えると思ったんだけどな…」
カトリさんは、一人で苦笑いした。
彼女には新たな歌を練習することが必要だった。
防音設備がある部屋を使えばいいのだが、味気なくて気持ちが乗らなかった。
それに都会は人の目が多くて、電撃引退後も住み続けるのは煩わしかったから、いろいろ考えて、人が少ない田舎に移住するという選択をした。
ごく普通の、一般人としてだ。
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