きみとぼくはともだち

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 本番が終わると、携帯電話に動画が送られていた。三角の再生マークに重なっているのは入院服姿の大樹だった。  僕は震える指で画面をタップした。別人のようにやせ細り、うつろな目をした大樹が何か演奏に合わせて手を動かしていた。  流れているのは先ほど僕たちが歌った『きみとぼくはともだち』だった。大樹がかすかに声を出しながら画面を指さし、自分を指さし、両手を合わせてゆっくりと回す。  隣には小夜さんがいた。泣きながら笑顔を作って手話をしている。  涙が堰を切ったようにあふれ出した。拭うこともできず、僕は手話をした。 『なみだの日も えがおの日も ぼくら いっしょにいたね はれの日も あめの日も きみとなら わらいあえるから』  幼い日の大樹の声が聞こえる。僕はあの頃に戻って声を重ねる。僕らの歌声はいつまでも響いて、今日も明日も明後日も消えることはないだろう。  気づいたら涼宮くんと美波さんがそばにいた。僕らは三人で笑ったり泣いたりしながら、何度も動画を再生させた。
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