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ワイバーンに騎乗し、低空飛行しながら王子を追う魔将軍。
尻に火が付いたまま、ひたすら逃走する王子。
「だが、こんな奴とはいえ、伝説の勇者の血が流れている。脅威の芽は今のうちに摘んでおかねばなるまい。覚悟!」
魔将軍は剣を抜き、ワイバーンを踏み台にして跳躍する。
「うわあああぁーっ!!! あっ!」
恐怖のあまり悲鳴を上げた王子は、足がもつれて転倒してしまった。
魔将軍は口元に笑みを浮かべながら剣を下に向ける。王子を串刺しにするつもりである。
その時――
王子の尻から勢いよく炎が噴き出した。王子が勢いよく放った屁に引火したのだ。
「!!」
魔将軍は腕をクロスさせてガードする。
炎を食らい、あちこちに火傷を負った魔将軍。
だが、たいしてダメージを受けていない。
着地し、ガードを解く魔将軍。
四つん這いになりながらも、少しでも遠くへと逃げようとする王子。
「小癪な真似をしてくれるな。だが、それでも、私の敵では……」
魔将軍目掛けて黒褐色の物体が飛来する。
それは表面だけを見ると、カリッと焼き上がっていた。
それは魔将軍の顔面に当たると、どろっとした中身を顔中にぶちまけた。
「――!! んーっ! んーっ! んーっ!」
思わず取り乱す魔将軍。どろっとしたものは、汚いだけではなかった。強烈な悪臭を放っている。
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