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『将軍様!』
魔将軍を乗せていたワイバーンが声をかけるも、魔将軍は唸りながら上半身をひたすら上下にシェイクするだけである。
『将軍様! 落ち着いてください!』
「んっんんん! んっんんん!」
腕を振り回してから今まで進んでいた方向とは逆の方向を指差す、というジェスチャーを繰り返す魔将軍。
『何をおっしゃっているのか、わかりません! 口を開けないのなら、テレパシーを使えばいいじゃないですか!』
『おお、そうだった。すまん、すまん。悔しいが、んんんんの奴にしてやられた! 撤退するぞ!』
『撤退……ですか?』
『そうだ! 撤退だ! 撤退して、あいつによって付けられた汚らわしくも呪わしい物体を除去して、体勢を立て直すのだ!』
『……わかりました』
『おのれえええぇーっ!!! んんんん!!! よくもこの私の顔に泥を……いや、それよりもひどいものを塗ってくれたな! この屈辱は生涯忘れん! 首を洗って待っていろ! 畜生! 畜生! まさか、こんなことになろうとは! 洗浄要員として、ウォータードラゴンやダークアンダインも連れてくればよかった!』
心の声がだだ漏れになっている魔将軍にドン引きしながらも、魔物達は従う。上には逆らえないのだ。
『撤退だよ、撤退』
『もう少しでんんんんを抹殺し、ナーロスター城を攻め落とすことができたのに』
『また攻めればいいじゃないか』
『見事に将軍様の弱点を突かれたよ』
『将軍様は潔癖症だからな。余程のことがない限り、将軍様と俺達配下一同は、毎日体を洗うことになってるし。ゾンビのような、いかにも汚そうな奴は、絶対採用されないし』
『将軍様の顔に付いているの、うんこだよね。んんんんの』
『そうだよな、あれ。元帥様ならきっと喜んだのに。あの方、スカトロマニアだし』
『だよね』
魔物達はぺちゃくちゃしゃべりがら、魔将軍について行った。
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