王子はどこへ?

3/4
前へ
/12ページ
次へ
『将軍様!』  魔将軍を乗せていたワイバーンが声をかけるも、魔将軍は(うな)りながら上半身をひたすら上下にシェイクするだけである。 『将軍様! 落ち着いてください!』 「んっんんん! んっんんん!」  腕を振り回してから今まで進んでいた方向とは逆の方向を指差す、というジェスチャーを繰り返す魔将軍。 『何をおっしゃっているのか、わかりません! 口を開けないのなら、テレパシーを使えばいいじゃないですか!』 『おお、そうだった。すまん、すまん。悔しいが、んんんんの奴にしてやられた! 撤退するぞ!』 『撤退……ですか?』 『そうだ! 撤退だ! 撤退して、あいつによって付けられた汚らわしくも呪わしい物体を除去して、体勢を立て直すのだ!』 『……わかりました』 『おのれえええぇーっ!!! んんんん!!! よくもこの私の顔に泥を……いや、それよりもひどいものを塗ってくれたな! この屈辱は生涯忘れん! 首を洗って待っていろ! 畜生! 畜生! まさか、こんなことになろうとは! 洗浄要員として、ウォータードラゴンやダークアンダインも連れてくればよかった!』  心の声がだだ漏れになっている魔将軍にドン引きしながらも、魔物達は従う。上には逆らえないのだ。 『撤退だよ、撤退』 『もう少しでんんんんを抹殺し、ナーロスター城を攻め落とすことができたのに』 『また攻めればいいじゃないか』 『見事に将軍様の弱点を突かれたよ』 『将軍様は潔癖症だからな。余程のことがない限り、将軍様と俺達配下一同は、毎日体を洗うことになってるし。ゾンビのような、いかにも汚そうな奴は、絶対採用されないし』 『将軍様の顔に付いているの、うんこだよね。んんんんの』 『そうだよな、あれ。元帥様ならきっと喜んだのに。あの方、スカトロマニアだし』 『だよね』  魔物達はぺちゃくちゃしゃべりがら、魔将軍について行った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加