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今のままだと魔将軍達相手に勝ち目はない。
なので、城に引き返し、籠城することにする。
城門を通り、敷地内に入る。
「おや、王子様、いかがなさいましたか?」
門番が俺に声をかけてきた。その表情は一見、驚いたように見えるが、どこかに呑気さが残っているような印象を受ける。
「魔王軍が攻めてきた! 大至急、門を閉めろ!」
「なんと!」
「早く!」
「わかりました!」
俺と門番は扉を押して城門を閉め、鍵をかけた。
俺は城内に避難しようと走り出そうとしたが、門番はその場に留まり、動こうとしない。
「逃げないのか?」
「何をおっしゃるんですか、王子様。私は門番ですよ。命に代えてでも、ここを守らなくてはなりません」
「……わかった。死ぬなよ」
「はい」
俺は門番を残し、城内に向かう。
城内に入ると、俺は急いで扉を閉め、鍵をかけた。
「王子様、いかがなさい……」
使用人が呑気そうに声をかけてきたので、俺は
「魔王軍が攻めてきた!」
と怒鳴りながら言った。直後、外の方から何かが爆発したような音が聞こえてきた。同時に「うわーっ!」という悲鳴も聞こえてきたような気がする。
嫌な予感がしたので、俺は扉から急いで離れる。
予感は的中した。
扉の辺りで爆発が起きたのだ。
炎の出現とほぼ同時に煙とほこりが舞う。爆音と共に。
ついでに、扉のそばにいた使用人と他、数名が、枯れ葉のように宙を舞った後、どさりと床の上に落ちる。
床の上に落ちた人々を見ると、白目をむき、髪は縮れ、服はぼろぼろになり、肌が露出している所には傷やあざがある。おそらく、事切れているだろう。
「きゃーっ!」
「なんだ、なんだ?」
城内の人々が次々と声を上げ、その表情を驚いたようなものや、不安そうなものに変えた。
ほどなくして、魔物達が煙の中から現れた。
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