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「コートとバッグは?ロッカーか?早く取って来いよ。駐車場わかる?先行ってんな」
「えっ、ちょっーー」
早口で私に言うと、颯爽と店を出て行ってしまった。
これで出て行かなかったら、後が面倒そうだから仕方なく、ロッカーからバッグとコートを出して店を出た。
今から何処に行くって、いうんだろう。
やってる店なんか無いんじゃ?
日も日なら、時間も時間だ。
キョロキョロと駐車場を探してると、スマホを耳にあてながら、オーナータクマが私を見ながら片手を軽くあげた。
速度を上げる事なく、近づくとスマホは既に耳から離されていて、助手席のドアを開けられた。
「お邪魔、します」
「クッ、どうぞ」
少し笑いながら返事をし、私が座ったのを確認すると、静かにドアが閉められた。
高級車…だと思う
私が、ほぼ帰らない家でも使用している車種だから、そう思った。
「そのうち温かくなるから少し我慢な」
「別に平気」
強がりでも謙虚心でもなく、こんなのは”あそこ”に比べたら何て事ない。
寧ろ、温かい方だ。
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