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「美味しい」
「だろ?まっ俺の方が、上手いけど」
ルイさんの料理は、どれも美味しくて、見た目も綺麗で女が好きそうな物で。
さぞ、代わる代わる女達を、連れてきてるんだろう、と思った。
「あ?店じまいした店に来といて、お前は俺にケンカ売ってんのか?」
「売ってないっすよぉ、単に俺が正直者なだけっす」
「お前、もう食うなっ、ったく初めて女連れてきたから、腕によりをかけてやったのに」
「あざーっす」
「お前は、まったく」なんて呆れた表情をしながらも、ルイさんの顔は綻んでいて、可愛がってる感じが伝わってくる。
けど……今ルイさん”初めて女を連れて来た”って言った、よね。
聞き間違い?それともルイさんなりの気遣い?
「あいつら元気にしてるか?」
「いつも通りっすよ、来ないんすか?」
「あぁ、連絡はたまに入るけどな」
「ふーん」
「サナちゃん、ケーキ食べる?」
まだ私が返事もしていないのに、ルイさんは、またもや厨房へ消えていってしまった。
そんなルイさんと、入れ替わるように。
「あー、タクちゃんじゃんっ、久しぶり~」
「おー」
「えっ、タクちゃんの彼女っ?綺麗、顔ちっちゃ手ぇながっ、ウエストほっそーい!お人形さんみたいっ」
車椅子に乗った女性が、現れ早口で私を褒めた…たぶん。
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