147人が本棚に入れています
本棚に追加
関係を持った女ですら”神代さん”と呼んでいるのを、不思議だなと思ったから間違いない。
そんな彼女は車椅子を上手に操縦し、厨房へ入っていった。
「ルイさんの妹」
「あ、うん」
会話で理解できた、けど…。
「うっせぇだろ、あと、悪気はねぇ」
「えっ」
「見た目、言われんの、イヤなんだろ?」
「別に、そういうわけじゃ…」
ルイさんの妹さんに、悪気がないのは分かってたし、嫌味な感じもなかったから、気にしてないつもりだったのに、どうやら顔に出てたみたいだ。
厨房からは仲良さげな、言い合いが聞こえてくる。
レンさんが怒り気味に話し、ルイさんは優しく答えてる。
「仲がいいんだ」
「あー、昔はそうでも無かったけどな、ハスが事故ってからかな、ルイさんがハスを妹として扱いだしたのは、異母兄妹なんだよ」
「そ、なんだ」
それでも、私達とは大違い。
私の義兄は、私を”物”としか思ってない。
欲を吐き出す道具…としか思ってない。
ルイさんが持ってきてくれたケーキは、チョコレートとラズベリーのケーキで、ドンピシャで私の大好物だった。
店を出る時、ルイさんとレンさんが「また来てね」と、偽りのない笑顔を向けてくれ、あまりにも眩しすぎて私は、直視できなかった。
最初のコメントを投稿しよう!