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「タクマも一緒に風呂入ったり」
「してねぇよっ、ソウタさんアイツ誰だよっ」
俺と同様に、タクマのイラつきもマックスみたいだ。
「Crowーー現時点で、世界ナンバーワンハッカー」
「「クロウ?」」
「直訳ではカラスだな」
「だから、さっきカラスの鳴き声」
「男…だよな?」
「俺も知らねぇ、つうか、誰もカラスの正体なんか知らねぇよ。あ、誰もじゃねぇな、サっちゃんと、さっきのおっさんは知ってるみたいだし」
口調は男っぽかった、けど、声はボイスチェンジャーで変えられ、女と言われれば女だし男と言われれば男、要するに声じゃ判断できねぇって事になる。
コウキさんが、タバコに火をつけながら、冷静に口を開いた。
「まっ、カラスの言う事も一理ありだな。タクマは見境なく、女と遊んだで済むけど、サナは男からは軽い女だと思われ、女からは妬みの対象になるだろうな、穏やかな日常は奪われ、危険なめにだって遇うだろう」
本気でタクマを、警察につき出すつもりでは無かった。
タクマが、人間的にいいヤツだって事は、俺だって十分わかってる。
10年もダチなんだ。
けど、女関係はなぁ……。
まぁ、他人の事を、とやかく言えた身分じゃねぇけど。
「本気なのか、タクマ」
「あぁ、一生離したくねぇっ、てくらいには本気だ」
「なんだよ、それ。サナと結婚してぇって事かよ」
「だな」
「悪夢だな」
サナが結婚とか…マジでイヤかも、俺。
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