3.Crow

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「で?なにしに来た」 コーが、真っ直ぐ私を見る。 迷惑、だったのかもしれない。 ここはBARだけど、どう見たって、BARとして開いてる店じゃない。 「こないだ、お礼を、言ってなかったから」 「礼ねーー迷惑そうな、ツラしてたのにか」 見破られてた。 あの日、男達に追いかけられて、怖かったのは事実。 でも、誰かに助けて欲しいなんて、思ってなかった。 捕まって、ナニかされたら諦めるって、思ってた。 「コウやめろよ。素直に礼を言われときゃいいだろ。それに、勝手に助けに入ったのは、コウだろ」 「言われりゃ、そうだな」 「あん時よ、サっちゃんが、タクマとシグレのって分かってねぇのに、何で助けた?面倒な事が嫌いなお前が、自ら首を突っ込んでまでさ」 「さぁな、気紛れ?」 そう言って、伏し目がちにタバコを吸ってるコー。 どこかで、こんな光景を見た気がする。 いつ、どこで? 思い出せない、でも。 たぶんだけど、私は以前コーと会ってる気がする。 「なんだよ、それ。だったら素直に、サっちゃんからの礼を受け取れよ」 「ま、無事で良かったんじゃねぇの?」 「あっ、うん。ありがと…」 言葉と表情とは裏腹に、コーの声色は凄く優しかった。
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