1人が本棚に入れています
本棚に追加
第6話 歌う蛙。作詞する蛙。
明くる日。
私は人生で初めて蛙として目を覚ました。
今の私がホムセンで購入した、生きたコオロギを食べる。
「さて、喉慣らしにカラオケ行こう」
「誰の喉慣らし?」ケロ?
「俺とキョウカの」
そうしてカラオケで歌った今の私の歌声は、我ながら神だった。
「えっ、これが私の声!?」ケロケロ
「元々キョウカの声は悪くなかった。もちろん俺の技術と経験は大だが、元がなけりゃこうはならない。後は、良い曲さえあれば行けるはず。キョウカの持ち歌はどれだ? カラオケに入ってる?」
「一曲だけ入ってるよ」
「よし、歌おう」
文字通り生まれ変わった私の声、最高!
……いや、満足していない鬼がそこにいた。
「うーん、歌詞はいいけど曲がダメだな」
「分かってたけど、ハッキリいうね」ケロー
「ああ、悪い。光るものはあるんだか……アレンジでもいいかもだが、新曲作ってもらうか。俺の知り合いに頼もう。歌詞はお前に任せたぞ」
「えっ、私?」ケロッ?
「お前の曲だからな。それに、いつかこの体に戻るかもしれないだろ?」
「あっ。……それ本気にしてたんだ……モゴモゴ……うん。もちろん作詞するよ」ケロロ!
「さて、今度はキョウカの番だぞ。蛙で良い声を出すコツだけど、実は人間とそんな違いは無くって……」
最初のコメントを投稿しよう!