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また、最初から 9
──しかし、そうして長く、話した後で。
彼女が自身の後悔をごまかすように言った、「あーあ、黒歴史だったな」という言葉に、
「黒歴史だった。恥ずかしいだけ。あんなの、なんの意味もなかったよ」という、妙に明るい、悲しい言葉に、
「──それは、違うよ」思わず、反論していた。自分でも、強い語調だと感じた。
「……えっ?」瞬間、彼女の表情が驚いたものに変わる。目をわずかに大きく開き、まばたきを二度三度繰り返すのが見えた。
「それは、違うよ」と僕はもう一度言う。「意味は、あった。僕は、そう思うよ」
「……どうして、そう思うの?」
彼女の表情が当惑から、怪訝なものへと変化する。その彼女に向かい、僕は語りはじめた。過去には話せなかった、積もりに積もった思いの丈を。
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