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キスとは
「ちょっと聞いていい? あのさ、ベロチューはできても、たとえばお皿に出された唾液を舐めろって言われても無理じゃん? その違いってなんだと思う?」
「はあ?……久しぶりに会った幼馴染へ、最初にする質問がそれか?」
「唐突なのは分かってるよ。でも、マシュなら分かるかと思って」
「俺、そんな性癖あると思われてるわけ?」
「そこまで言ってない! だいたい入学してふた月で不登校って何? 普通に元気そうじゃん。明日一緒に行く?」
「ほっとけ」
頭を抱えながら、開いたままの玄関ドアに寄りかかった。コイツ……望々の顔面偏差値が今よりちょっとでも低かったら、俺はソッコーでドアを閉め二度と応対しなかっただろう。
だけど初夏の光にチカチカと照らされた笑顔が、ドアホンのモニター越しに見るだけではもったいなくて、思わず通話のボタンを押したんだ。
なのにこんなのセクハラだろ。
懐かしさに浮ついた気持ちを返してほしい。
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