第十一話

8/8
前へ
/242ページ
次へ
 彼女の明るい声で我に返る。 「おすすめランチ二つになります」  ほくほくと湯気の立ち上がるスープを目にしたのはいつ以来だろう。 「ごゆっくりどうぞ」  微笑みと共に言葉を放つ女性の給仕の声が、なぜかアーネストの耳にいつまでも残った。 「ほらほら。閣下。美味しそうじゃないですか。あたたかいうちに食べましょう」 「そうだな」  アーネストの言葉にジョアンは目を丸くした。 「どうしたんですか? 閣下。急に素直になって。それはそれで、気持ち悪いんですけど」  相変わらずジョアンは生意気である。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加