第十二話

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「まぁ。今日、食堂に来てくれたってことは、これからは定期的に足を運んでくれるだろうよ。焦らずに少しずつ進めるしかないね」 「はい」  焦ってはならない。  オレリアは自分にそう言い聞かせる。 「ごちそうさま」  ジョアンの声が聞こえ、オレリアは慌てて会計へと向かう。 「リリーさん。今日は、夜もいますか?」  支払いをしているのはアーネストである。 「あ、はい。私は、今日は昼と夜を担当していますから。あ……おつりです」  オレリアはアーネストの手のひらの上に、小銭を落とした。瞬間、ちょっとだけ指先が触れた。 「あっ……」  ほんの指先だったのに、そこから伝わるアーネストの熱が懐かしいと感じる。 「す、すみません……」  涙がこぼれそうになって、顔をそらした。 「いや」  アーネストの低くて落ち着いた声が、オレリアの涙を誘う。 「閣下。そんなにリリーさんを睨まないでください。怖がってるじゃないですか。ただでさえ、顔が怖いって言われているのに」 「あ……そんなこと、ありません」  オレリアはアーネストの顔が怖いと思ったことなどない。今だって、ただ懐かしいと思っただけ。 「美味かった……」
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