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アーネストはそれだけぼそりと呟くと、ジョアンの腕を引っ張って立ち去っていく。
「痛い、痛い、閣下、痛いです。暴力反対」
「いいから、お前は黙ってろ!」
オレリアは彼らの背中が扉の向こうに消えるまで、ずっと見ていた。
――美味かった。
その一言がオレリアの心を舞い上がらせた。もしかしたら、他の料理を褒めたのかもしれないけれど。
オレリアが片づけのために彼らが使ったテーブルへと向かうと、二人分の食器は空っぽになっていた。きれいに食べてくれたようだ。つまり、オレリアの料理も食べた。
「はいはい、泣くんじゃないよ」
エミも片づけにやってきて、オレリアの頭をぽんぽんとなでる。
「はい……」
オレリアがガイロの街へやってきたのは、十日ほど前。
ダスティンの動きは早かった。すぐさまガイロの食堂で働いているエミに連絡をいれ、オレリアの状況を伝えた。
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