第十二話

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 エミは、最近、食堂でアーネストの姿を見ていないことに気づき、そこでピンとくるものがあったらしい。物事にも動じず、肉体的にも精神的にもしっかりとしているエミだから、何かを察したのだろう。むしろ、オレリアを応援したくなったようだ。いや、オレリアとアーネストの仲を。  オレリアは食堂の仕事にはすぐに慣れた。というのも、いつかはアーネストに食べてもらいたいという思いもあって、シャトランからしっかりと料理を学んでいたからだ。そんな健気なオレリアを、エミはすっかりと気に入った。  さらにエミは、十二年前のガイロがどんな様子であったのかも教えてくれた。それが、アーネストがガイロに滞在するようになった理由なのだ。  オレリアがハバリー国に来たときにも、ガイロの街で休んだのを覚えている。休んだ場所は、軍が拠点としている建物で、そこに今、アーネストがいる。  オレリアが足を運んだときには、ガイロの街もそれほどピリピリしていなかったし、オレリアに危険が差し迫るといった様子もなかった。  それなのに、二人が結婚式を挙げた日を境にして、状況がかわった。  トラゴス国がガイロの街へ向かって兵を挙げたらしい。
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