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そう言ったダスティンは、読み終えた手紙をテーブルの上に乱暴に投げ捨てる。
「俺が読んでもいいのか?」
「ああ」
ダスティンは荒々しく返事をしたが、むしろ「読んで欲しい」と行っているようにも聞こえた。
手紙を手にしたアーネストは、一字一句、違わぬように読み進める。
最後まで読み終えたとき、アーネストも後悔した。これは、読まなかったことにしておきたい案件である。
「どうしたらいい?」
「どうしたらいいも何も。受けるしかないだろう?」
「だが私は、すでに結婚している」
ダスティンはアーネストの妹であるマルガレットと、二年前に結婚した。
ハバリー国の国王に就いたのと、ほぼ同時期である。戴冠式は、そのまま結婚式になった。
「だから、そこに書いてあるだろう? 側妃にと」
トラゴス大国は、ハバリー国に王女を嫁がせたいと言ってきたのだ。ただ、さすがにダスティンに妃がいるのを知っていたようで、王女を側妃にと打診してきた。
「なんなんだよ、この嫁の押し売りは。だがハバリー国は、一夫多妻を認めていない。それは、国王の私だって同じだ」
国王というのは名ばかりで、この国の代表のような存在だからだ。
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