第十三話

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「むしろ、この町に住む者が安心して生活を送れるようにするのが、俺たちの仕事だ。外の広場で待っている」  彼女は何か言いたげだったが、アーネストはベルをカランコロンと鳴らして外に出た。  左へ行けばいつもの回廊へ続き、その先は軍所有の建物につながっている。右へ行けば噴水のある広場に出る。  天気の良い日は、広場に道化師がやってきて人々を楽しませているし、噴水の水で遊ぶ子どもたちもいる。広場に人が集まるようになったのも、ごく最近の話だ。  とっぷりと闇に覆われた外を、アーネストは広場に向かって歩く。噴水の吹き出る音が、異様に大きく聞こえた。  広場の周囲にはぽつぽつとガス灯があるものの、そこから離れれば一気に暗くなる。彼女がどこまで帰るのかわからないが、やはりこんなに暗い場所を、若い女性一人で歩かせるのは危険だ。  それに、ジョアンも言っていたように、客観的に見ても彼女はかわいい。 「あの」  声をかけられ振り向くと、ランタンを手にしたリリーだった。 「お待たせして申し訳ありません」 「いや、待っていない。家はどの辺りだ?」 「あ、はい。三区です」 「三区? 失礼だが、リリー殿は結婚を?」
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