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「あ、ごめんなさい。変な話をしました」
「いや……」
「……あ、ここです。今日は送ってくださってありがとうございます」
彼女がぺこっと頭を下げると、おさげがふわりと動いた。ランタンの光でぼんやり橙色にとうつる彼女の姿に、なぜか心が揺さぶられる。
「クワイン将軍も、お気をつけて」
家の中に消える彼女の姿を見送ってから、アーネストは来た道を戻る。ランタンを借りたままだったことに気づいた。これは明日、食堂に行ったときに返せばいいだろう。
ただそれよりも、足音はしないのに近くに誰かがいる気配がした。それは、広場で彼女と会ったときから感じた気配。
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