第一話

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「だったら、それを理由に断ればいいだろう」  淡々と言葉を放つアーネストであるが、彼だってこの話を断ったときの危険性を知っている。 「今、トラゴス大国が攻めてきたら、勝算は?」  断るというのは、すなわちそういうこと。 「五分五分だな。ガイロの街がアレだからな。あそこの動き次第では負ける」 「うぅ~ん」  腕を組んで、ダスティンは唸るしかできない。 「こういうときこそ、族長に相談か?」  アーネストは藁にもすがる思いで、そう言った。その藁が族長と呼んでいる男――ダスティンの父親になる。だけど、この藁にはすがってはならないという気持ちもあった。  とにかく、嫌な予感がする。だけど、ダスティンがこの話を受け入れられない以上、族長に相談するのが妥当である。  ダスティンの父親は、古城の三階の奥の部屋にいる。もしくは、厩舎にいることが多い。  古城の三階は、国王関係者の私的な部屋が並んでいるプライベートゾーンになっており、この時間帯であれば、族長は部屋にいるだろう。朝方から昼前にかけては、厩舎にいる。
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