246人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
「だったら、それを理由に断ればいいだろう」
淡々と言葉を放つアーネストであるが、彼だってこの話を断ったときの危険性を知っている。
「今、トラゴス大国が攻めてきたら、勝算は?」
断るというのは、すなわちそういうこと。
「五分五分だな。ガイロの街がアレだからな。あそこの動き次第では負ける」
「うぅ~ん」
腕を組んで、ダスティンは唸るしかできない。
「こういうときこそ、族長に相談か?」
アーネストは藁にもすがる思いで、そう言った。その藁が族長と呼んでいる男――ダスティンの父親になる。だけど、この藁にはすがってはならないという気持ちもあった。
とにかく、嫌な予感がする。だけど、ダスティンがこの話を受け入れられない以上、族長に相談するのが妥当である。
ダスティンの父親は、古城の三階の奥の部屋にいる。もしくは、厩舎にいることが多い。
古城の三階は、国王関係者の私的な部屋が並んでいるプライベートゾーンになっており、この時間帯であれば、族長は部屋にいるだろう。朝方から昼前にかけては、厩舎にいる。
最初のコメントを投稿しよう!