第十四話

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 ジョアンが夜間警備の計画書の資料を集め、まとめてきたため、アーネストはそれを確認した。すぐに行動に移す者がいるなら、こちらもそれに応える。というのが、アーネストの持論である。  ジョアンはああ見えて、やるときはやるし、やらないときはやらない。ムラッ気を持ち合わせているが、やるときの彼は大いに期待ができる。  その資料から出される利点と欠点を洗い出し、実行まで持っていくのがアーネストの仕事である。しかしこれには追加予算が必要であるため、ダスティンの決済も必要だろう。その前に、会議にもかけなければならない。  そうやっていろいろと対応をしていたら、今日の夕食も遅くなってしまった。ジョアンはとっくに帰っている。  遅めの夕食のため一人で食堂に向かうと、またリリーの姿が目に入る。  またこんな遅くまでと心の中で叱責するが、無視を決め込んだ。一度は注意したのだ。これ以上、彼女に深入りしたら、特別な感情を持ち合わせていると思われてしまうだろう。  以前もジョアンがそのようなことを口にして、非常に焦った。  今日は男性の給仕が注文を聞きにきた。気もそぞろになりながらも、いつもと同じものを頼む。
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