第十四話

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「た、たすけてっ!」  口が自由になった隙に彼女が助けを求めたため、アーネストは剣を抜く。 「黙れ」 「んっ」 「彼女を離しなさい」  逆上させないように、だけど威嚇するように。落ち着きを払いつつ低く響く声で、静かに声をかけた。  一対二。さらにリリーが捕まっている。明らかにアーネストのほうが、分が悪い。 「ちっ。ずらかるぞ」  だけど彼らはアーネストには敵わないと思ったのだろう。リリーを押しのけて、走り去っていく。 「きゃっ」  倒れそうになった彼女を思わず抱きとめ、気がついたときには男たちの姿はどこにも見えなかった。 「すまない。取り逃がした」 「いえ……ありがとうございます……」  腕の中の小さな身体は震えていた。 「知っている男か?」 「は、はい。何度か、食堂で見かけたことは……」 「そうか」  ジョアンから聞いた話とつながるものがある。これは詳しく話を聞いておいたほうがいいだろう。だが、今日は無理だ。 「家まで送ろう」 「い、いえ。大丈夫です」  彼女はなんとか一人で立とうとしたが、力が入らないのか一歩を踏み出すことができない。
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