第十四話

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「不快かもしれないが、俺がお前を抱いて家まで連れていく。いいな?」 「は、はい……」  抱き上げた彼女は、思っていたよりも軽かった。  こうやって誰かを抱き上げたのは、あのとき以来だ。結婚式の食事会のあと、オレリアを部屋まで連れていったとき。 「大丈夫か?」 「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」  今日は月も出ているためか、ランタンがなくても道が見えるほど明るい。 「ここだったな」 「そうです」 「家の中に入れば安心だろう」  扉の前で彼女をおろした。小さな鞄から家の鍵を取り出して、扉を開ける。それがきちんと閉まるのを見届けてから、戻ろうと思った。 「……で、ください……」  気づいたときには、上着の裾を彼女がひしっと掴んでいた。 「一人にしないで、ください……」  身体を強張らせている彼女を、アーネストは眉間に力を込めて見つめた。彼女が怖い思いをしたというのは、その現場を目撃したから理解できる。  しかし、一人にしないでと言われて、アーネストがここにいていいかがわからない。いや、駄目だろう。 「家族などはいないのか? 友人など……」
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