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彼女が顔をあげると、海のような碧眼がまっすぐにアーネストを捕らえた。
「何をされた? 触られたのか?」
灯りもない暗い室内、それでも月明かりがどこからか差し込み、涙を流す彼女の顔がはっきりと見えた。
「どこを触られた」
さざ波のような声色には、アーネスト自身も気づかぬうちに、怒気が込められていた。
腹立たしい。彼女に触れた男が憎い。
そのような感情が沸き起こる理由はわからない。
「ここを触られたのか?」
肉付きのよい丸いお尻を、右手でなでる。
「あっ……う、ん……」
「ここもか?」
左手は、ふくよかな胸元を包み込む。
「アーネストさま……」
彼女の手が伸びてきて、アーネストの頬に触れる。
「あの男を、忘れさせてください……」
――抱いてください。
そう言った彼女が、口づけをせがむ。
アーネストは堕ちた。彼女の甘美な誘惑に負けた。
オレリアに似た女性を、オレリアの代わりとして抱くのだ。
最低だ。
こうなったら、堕ちるところまで堕ちてやる――
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