第十五話

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 彼の身体がヒクリと揺れたのが見えた。暗くても、これだけ近くにいればその気配を感じるし、姿形もぼんやりと見える。 「初めてなのか? お前の夫は何をしていた? お前を抱かなかったのか?」 「……はい。結婚とは名ばかりで……」 「ひどい夫だな」  同情するかのような眼差しで見下ろしながら、アーネストは優しくオレリアの頬をなでる。 「お前は……こんなにきれいなのに……」  なぜか苦しげに言葉を吐き出す。 「わたし……旦那さまに見捨てられたのです……だから……」  だから、あんな手紙を送ってきたのだ。 「そうか……だったら、俺も間違いなく妻に捨てられるだろう」  足の間を割って、そこにアーネストが身体を滑り込ませてきた。 「これからお前を抱くからな……」  それでもアーネストの目は、オレリアの目の向こう側を見ているように感じる。オレリアを通して、いったい誰を見ているのだろう。  きっと、アーネストの想い人だ。やはり彼は、ここに来て好きな女性ができたのだ。 「あなたがわたしを通して誰を見ているかわかりませんが。今はその人の代わりでもいい。わたしをその人だと思って抱いてください」
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