第一話

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 すべてを読み終えたタイミングを見計らって「どうしたらいい?」とダスティンがこぼした。 「受けるしかないだろう。王女を人質としてやるから、仲良く手を繋ぎましょうね、よちよち、という話だ。断ったら、わかってんだろうな? という思惑がひしひしと感じられる」 「だけどハバリー国は一夫多妻を認めていない。そして私はすでに結婚しているし、マルガレットと別れるつもりはない」  マルガレットはアーネストの妹であり、幼いころからマルガレットはダスティンを慕っていて、その逆も然り。二人の結婚は政略的ななんちゃらではなく、相思相愛、互いの気持ちが実ったうえでの結婚なのだ。 「何も、別れろとは言わんよ」 「では、やはりこの話を断る?」  いんや、と族長は首を横に振った。 「まず、この国では一夫多妻を認めていないため、側妃は受け入れられないと説明する。その後、国王に次ぐ他の者が王女を娶る」  そう言った族長の視線の先にいるのはアーネストであった。 「なるほど」  ダスティンも納得して、アーネストを見やる。 「なんだ?」  親子の不穏な視線に、アーネストもたじろいだ。
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