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アーネストはまじまじと彼女を見つめた。背は、当たり前だが高くなっている。碧眼の目はぱっちりと二重で、艶やかな唇は蠱惑的に微笑んでいた。体つきもぐっと魅力的になっており、ドレスの胸元は大きくあいてはいないものの、その豊満な胸を隠しきれていない。腰のくびれも、伸びた背筋も、おもわず目を奪われてしまうほど美しい。
何か喋らなければならないのに、言葉が出てこない。
二人の間に沈黙が落ちた。
外からは兵士たちの訓練の号令が聞こえてくる。
「旦那さま?」
呆然とオレリアを見つめるアーネストを怪訝に思ったのか、彼女はコテンと首を傾げた。
「どうされました?」
「すまない……まさかお前がここに来るとは思っていなかったから、驚いた」
それは偽りのない本心である。まさかオレリアがガイロの街に来るとは思っていなかったし、ダスティンやデンスがそれを許すとも思えなかったのだ。それよりも先に、マルガレットやシャトランを送りつけると思っていた。
「先触れも出さずに申し訳ありません。ですが、陛下がおっしゃっていたのです。わたしがアーネストさまに会いに行くと知ったら、アーネストさまは間違いなく逃げるって」
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