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「アーネストさまのことが好きだからに決まってるじゃないですか。わたし、別れる気なんてありませんからね!」
そう言って彼女は、離縁届をビリビリと真っ二つに引き裂いた。
「……オレリア、落ち着け」
「これが、落ち着けますか? 十二年間もアーネストさまが帰ってくるのを待っていたのに、それがこれですか? 二十歳になって初めて手紙が届いたと思ったら、離縁してくれって」
今度はバンと両手を机の上についた。上半身を乗り出してくる。
「アーネストさまにとっては、わたしは子どもだったかも知れません。ですが、わたしだって成人を迎え、さらに二十歳になったのです。いつまでも子どもではありません」
「ああ。だから、ここは別れるべきだと思った」
「わけがわかりません。どうして、わたしが大人になったら、アーネストさまと別れなければならないのですか!」
「それは……俺がお前にとって相応しい夫ではないからだ」
彼女は苦しそうに顔をしかめた。
「相応しくないって……どういう意味ですか?」
「そもそも、俺とお前では二十歳も年が離れている」
「それが何か問題でも?」
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