第十六話

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 アーネストは、ひくりと片眉をあげた。何か問題かと問われると、何が問題なのか。まぁ、年の差だろう。年の差のものが問題のような気がする。 「二十歳も年の差があるんだぞ? お前はまだ二十歳だが、俺はもう四十だ」 「はい。アーネストさまの年齢は存じ上げております。ついでにいうならば、陛下は三十八ですし、マルガレットさまは三十二です。お義父さまは六十八になりまして、シャトランさまは六十五です。陛下たちの三人のお子様は……」 「もういい……」  アーネストを真っ直ぐに見つめてくるオレリアが眩しかった。 「一番の理由は……そう……俺は、お前を裏切った……」  やはりここまで言わないと彼女は引かないだろう。だけど、リリーは巻き込みたくない。 「俺は、ここに来て一人の女性と関係を持った……」 「それは……どういった……?」 「みなまで言わすな。少なくとも俺は、その女性に興味がある」  この言葉は偽りではない。  オレリアのふっくらとした唇は、わなわなと震え始めた。そうやって怒って、アーネストを見下して、嫌ってくれればいいのだ。 「……わかりました」
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