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ふぅ、と彼女は小さく息を吐いた。それから小さなバッグから何かを取り出して、それを机の上に置いた。
「アーネストさま、忘れ物です」
彼女が机の上に置いたもの――それはアーネストがリリーの家でなくしたと思っていた勲章。
「なっ……」
アーネストはおもわず席を立つ。
「なぜ、お前がこれを持っている……」
「アーネストさま。お気づきになりませんか?」
いや、まさか。そんなことは……。
ぐわんぐわんと頭の中が音を立て、今までの記憶を呼び起こす。
「ごゆっくりどうぞ」
その声色は、アーネストがいつも食堂でリリーからかけてもらったものだ。
すべてがやっと繋がった。
彼女を初めて見たときの既視感。彼女を抱いたときに感じたオレリアの姿。
「り、リリーか?」
「はい。アーネストさま!」
「うぉおおおおおおお」
アーネストは、腹の底から低い声を響かせ、年甲斐もなく吠えた。
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