第十七話

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第十七話

 オレリアが目を覚ましたときにはすでにアーネストの姿はなく、置き手紙が一枚あっただけ。  彼からもらった二通目の手紙。いや、一通目は離縁の申し出であったため、あれは手紙に数えない。つまり、これはアーネストから届いた初めての手紙である。  内容はオレリアではなく、リリーの身体を気遣うものと、あまり遅い時間まで食堂で働かないようにと、そういった文面であった。当たり障りのない文章であっても、アーネストの気持ちが伝わってきて、その手紙を抱きかかえてうふふと笑った。  あの後、体液で汚れた身体をきれいにして、二人は抱き合って眠った。あれほど怖い思いをしたのに、アーネストの体温に包まれるとすんなりと眠りに落ちた。  そして目が覚めると、彼の姿はなかった。  夢だったのでは、と思ったけれども、彼が書き残した手紙が昨夜の出来事が現実であると突きつけた。  喜び舞い上がっている場合ではない。アーネストはオレリアと本気で別れるつもりである。  それを何がなんでも阻止しなければならない。
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