248人が本棚に入れています
本棚に追加
だからあれ以降、オレリアはアーネストに会っていない。表に立っていないのだから、仕方のないこと。
そしてきっちりと約束の期間、食堂の仕事をやり終えてから、アーネストに突撃すると決めた。
オレリアはガイロの街に来てからというもの、マルガレットやシャトランと手紙のやりとりをして、アーネストの姿を確認できたことは報告しいていた。
マルガレットの返事は過激で「押し倒せ」とも書いてあったが、あれを押し倒したかと問われると微妙なところである。
とにかくアーネストの気持ちはよくわからないけれど、オレリア自身の気持ちは彼に伝えるつもりだった。
伝えなければ絶対に後悔する。嫌われていたとしても、自分の気持ちだけは――
黒く染めていた髪を元に戻し、明るいドレスを着てアーネストの執務室へと突撃した。
そして、リリーとオレリアが同一人物であると伝えたのだが、アーネストは項垂れて今、隣に座っている。
「あの……アーネストさま?」
先ほどからアーネストはうんうんと唸って、オレリアを見ようとしない。
「怒って、おりますか? その……突然、このように押しかけてしまって……」
最初のコメントを投稿しよう!