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「頼むぞ、アーネスト。ダスティンが駄目ならお前しかあるまい」
「いや……他の者のほうがいいのでは?」
「いや、お前でなければ駄目だ。この国の中心にいるのは、ダスティンとアーネスト、お前だ。お前なら、相手も文句は言うまい。独身であるし、婚約もしていない。闘神のクワイン将軍と呼ばれているお前だからこそ、ダスティンの代わりとして不足はない」
ダスティンが隣から暑苦しい視線を向けてくる。
「頼む、アーネスト。お前が受けてくれないなら、私はマルガレットと別れねばならぬ」
マルガレットとダスティンの仲はそれなりに良好である。妹夫婦の仲を引き裂くほど、アーネストだって非情な男ではない。
小さく舌打ちをした。
アーネストとしてはもちろん断りたい縁談だ。ダスティンも言っていたが、嫁の押し売りなど勘弁願いたい。
しかし妹のマルガレットのこと、そして何よりもこの国のことを考えると、断れないというのも理解している。
「……わかった」
アーネストは押し売りに屈した。
きっと相手も夫婦であればよいのであって、仲の良い夫婦を望んでいるわけではないだろう。ようは、形だけの結婚。
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