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「奥様。閣下は怒っているわけではありませんよ。照れているんです」
オレリアとアーネストの前に、さっとお茶を出したジョアンがにこにこと微笑んでいる。
「なんでお前がここにいる。それが一番、意味不明だ」
アーネストは顔もあげずに、ジョアンを威嚇した。
「意味不明って……僕は、久しぶりに再会したお二人に、お茶とお菓子を用意しただけですよ」
「用意が終わったら、さっさと出ていけ。そうでなければ、馬に蹴られるぞ」
「はいはい。僕はさっさと部屋を出ていきますよ。お二人の仲を引き裂きたいわけではありませんからね。奥様、ごゆっくりどうぞ」
「ありがとう、ジョアンさん」
背を向けたジョアンにオレリアが声をかけると、「あれ? 名前……」と首を傾げてから部屋を出ていった。
アーネストはすぐに立ち上がって、扉にしっかりと鍵をかける。
「アーネストさま?」
「ジョアンは神出鬼没なんだ。二人きりで話をしたいからな。邪魔が入らないようにだ」
二人きりと言われ、オレリアの気持ちはきゅっと高鳴った。
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