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アーネストはもう一度オレリアの隣に座った。ここで距離をとられたら、オレリアはショックで倒れたかもしれない。でも、これで拒まれていないとわかった。
アーネストの執務室には初めて足を踏み入れたが、白い壁に白い天井と飾り気のない部屋だった。
「あの……アーネストさま」
「なんだ」
「ごめんなさい。その……騙すようなことをしてしまって……怒っていらっしゃいます?」
オレリアがじぃっとアーネストに視線を向けるが、彼はこちらを見ようとはしない。項垂れて下を見たまま、大きく息を吐く。
「怒ってはいない」
「でしたら、どうしてこちらを見てくださらないのですか?」
ひくりと大きな身体が震えた。
「オレリアが……」
「わたしが?」
「その……思っていたより、美しすぎて……」
オレリアの胸がきゅんと疼いた。美しいと言われて恥ずかしいけれど嬉しくて、それよりもこんな拗ねたような態度を取るアーネストが可愛らしい。
「アーネストさま。これからもわたしたちは一緒にいるんですよね? わたしたち、離縁はしませんよね?」
「そ、それは……」
「アーネストさま!!」
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