249人が本棚に入れています
本棚に追加
理性で耐えたアーネストが、話題を変えてきた。
「どうしてって……そんなの決まっているじゃないですか。先ほども言いましたよね? わたし、アーネストさまと別れる気はありません。それを伝えに来たんです」
「そうか……」
「そうかって、それだけですか?」
ダスティンやマルガレットが朴念仁と言っていた意味がわかってきたような気がする。
怒っているようではないのだが、それでも口を真っ直ぐに結んで、何を考えているのかがさっぱりわからない。
「アーネストさまは、わたしが嫌いですか? それとも他に好きな方がいらっしゃるんですか? でもそれって、リリーのことですよね。そうなれば、それってわたしのことですよね?」
息次ぐ間もなく、オレリアはぐいぐいとアーネストに迫る。アーネストはたじたじで、何かを言いかけて口を開くが、やっぱりまた閉じる。
「アーネストさま。何度も言いますけれども、わたしはアーネストさまと別れるつもりはありません。ですが、アーネストさまがわたしのことを嫌いで、顔を見たくないと言うのであれば、泣く泣くアーネストさまをあきらめます」
最初のコメントを投稿しよう!