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自然と謝罪の言葉が口から漏れ出た。何に対する謝罪なのかすらわからないくらい、心当たりはたくさんあるし、こんなたった一言で許されるとも思っていない。
だけど彼女は首を傾げる。まるで、心当たりなどないというかのように。
「どうして謝るのですか? 謝るのはわたしのほうです。アーネストさまとの思い出が欲しくて、偽りの名を遣ってアーネストさまに抱かれました」
そうさせてしまったのもアーネストの責任である。そこまで彼女を追い詰めてしまったのだ。胸が軋み、おもわずオレリアを抱きしめた。
「アーネストさま。苦しいです」
「す、すまない」
彼女は相変わらず細くて、軽い。それでも自分とは異なるやわらかさが女性であると意識させるのだ。
「あ、陛下からのお手紙を預かってきたのです」
わざわざオレリアに渡すところが、ダスティンのあざといところだろう。いつものように伝令なりなんなりを使えばいいものを。
もう少し彼女の体温を感じていたいところだったが、渋々と熱を解放した。
オレリアは小さな鞄から手紙を取り出し、アーネストへと手渡す。
「お前は、この手紙の内容を知っているのか?」
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