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「いいえ、陛下からアーネストさま宛ての手紙ですから……安心したら、喉が渇きました」
彼女の目尻には、少しだけ涙がにじんでいた。だけどそれに気づかぬふりをして、ダスティンからの手紙を開ける。
隣ではオレリアがお茶を飲みながら、お菓子に手を伸ばす。アーネスト一人ではここまで頭がまわらなかったから、やはりジョアンに感謝すべきところだろうか。
オレリアの気配を探りつつも、ダスティンからの手紙に視線を走らせる。内容を確認していると「どんな内容ですか」と彼女がのぞき込んできた。
「建国十五周年記念式典の件だ」
こんな大事な内容をオレリアに託したというのは、オレリアと出席しろと遠回しに言っているのだ。つまり、アーネストがオレリアと会うことから逃げていたら、この手紙は永遠に届かなかった。
そうなった場合、十五周年記念式典の存在そのものを、アーネストに教える気はなかったということだ。
いや、ダスティンはそうならないとわかっていたのだろう。
「十五周年記念式典ですか?」
「そうだ」
「建国を祝う式典だなんて、今まで開かれたことがなかったと思うのですが」
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