第十八話

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「いいえ、陛下からアーネストさま宛ての手紙ですから……安心したら、喉が渇きました」  彼女の目尻には、少しだけ涙がにじんでいた。だけどそれに気づかぬふりをして、ダスティンからの手紙を開ける。  隣ではオレリアがお茶を飲みながら、お菓子に手を伸ばす。アーネスト一人ではここまで頭がまわらなかったから、やはりジョアンに感謝すべきところだろうか。  オレリアの気配を探りつつも、ダスティンからの手紙に視線を走らせる。内容を確認していると「どんな内容ですか」と彼女がのぞき込んできた。 「建国十五周年記念式典の件だ」  こんな大事な内容をオレリアに託したというのは、オレリアと出席しろと遠回しに言っているのだ。つまり、アーネストがオレリアと会うことから逃げていたら、この手紙は永遠に届かなかった。  そうなった場合、十五周年記念式典の存在そのものを、アーネストに教える気はなかったということだ。  いや、ダスティンはそうならないとわかっていたのだろう。 「十五周年記念式典ですか?」 「そうだ」 「建国を祝う式典だなんて、今まで開かれたことがなかったと思うのですが」
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