第十八話

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 戸惑いながら答えると、また彼女の表情はゆるんだ。  しかし、アーネストとしてはまだガイロの街から離れる予定はなかった。それに、ダスティンからの手紙にも、式典には出席しろと書いてあるものの、拠点を移せとは記されていない。  となれば、オレリアもガイロの街に滞在せねばならないのだが。 「いや、ダスティンに確認する必要がある。俺はまだ、ガイロにいなければならないからな」 「陛下もお義父さまも、アーネストさまのお側にいていいとおっしゃっておりましたよ?」  その言葉に、引っかかった。いや、さっきから気になっていたのだ。 「お前はまだ、族長を義父と呼んでいるのか?」  デンスはとっくにオレリアの後見人から外れている。ましてオレリアは娘でもなんでもない。となれば、周囲に合わせて族長と呼ばせるべきではないのだろうか。 「はい。お義父さまが、そう呼ぶようにと」 「族長は、その……俺のことを何か言っていなかったか? お前に離縁を申し出たことで」 「何か、とは?」 「いや、いい。なんでもない」
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