第十八話

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 族長がオレリアをかわいがっているのは、ダスティンの報告書からも読み取れた。いや、族長だけではない。ダスティンもだ。  思い返せば、オレリアが幼い花嫁としてトラゴス国から差し出されたときも、ダスティンたちは彼女の味方だった。ただ一人、族長だけがアーネストのことを気にかけていたのだが、その族長がオレリアを気に入ってしまったのだから、アーネストの味方などいるはずがない。  二人でのんびりとお茶を飲んだあと、アーネストはダスティンに手紙を書いた。  建国十五周年の記念式典は、四ヶ月後。今から各国への招待状を準備する必要がある。それに、ハバリー国にとっては、初となる大々的な催しものであるため、気合いの入れ方が違う。  アーネストも式典の一か月前には、首都サランへと戻るつもりであった。それまではガイロの街をもう少し住みやすくしておきたいものだ。  オレリアもガイロの街にとどまり、今まで住んでいた居住区三区の家から、軍施設敷地内にある居住区へと移ってきた。  ここはガイロの街に常駐している兵たちの家族が住まう場所。
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