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だからこそ、アーネストが家族になってくれたあの日、オレリアにとっては世界が変わった日でもあった。
「この料理……」
夕食に、ミルコ族の伝統的な野菜料理を出したところ、目の前のアーネストの手の動きが止まった。
「どうかされました?」
「……いや。食堂で、これを食べたことがあった。あれも、お前が作ったんだな」
「そうです。いつか、アーネストさまに食べてもらいたくて。シャトランさまに教えていただきました。」
アーネストは料理をゆっくりと咀嚼しながら、味わっている。彼の目尻に浮かぶしわが、オレリアの料理を美味しいと言っているように見えた。
だけどアーネストははっきりと「美味しい」とは言わない。
「お前があの食堂にいるとは思ってもいなかったからな。髪の色も……染めたのか?」
「はい。マルガレットさまも、絶対にわたしとはバレないようにしたほうがいいって。そうしないとアーネストさまが逃げるだろうからって」
「あいつら……楽しんでいたんじゃないのか?」
どうでしょう? とオレリアは呟いてみたが、もしかしてそうだったのかもしれないと、今になって思えてきた。
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