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「居住区が家族構成によってわかれているところです。一区、二区に住んでいる人は未婚の人ばかりですよね」
「ああ、そのことか。ガイロはスワン族が多く暮らしていた場所だからな。その名残があるんだ」
独身の者を同じ地区に集めることで、結婚相手を探しやすくているのだとか。
そこでアーネストは険しい顔をする。
「どうしました?」
「いや、オレリアが一区に住んでいなくてよかったなと、今になって思っただけだ」
「え? それって、どういう意味ですか?」
オレリアが尋ねてもアーネストはけして教えてくれなかった。
結婚して十二年経つというのに、まだどことなくぎこちない。再会して数日しか経っていないことを考えれば、そのぎこちなさも妥当なのだろう。
だけど、アーネストはオレリアの身体を求めようとしなかった。しかも寝室は分けてある。
せっかく二人きりで過ごしているのに、おかしな話である。
オレリアとしてはそれが不満であった。せっかく感動の再会を果たしたというのに。
こんなとき、マルガレットが側にいてくれたらなと思うのだが、残念ながら彼女は首都にいる。そう簡単に相談できない。
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