第二話

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第二話

 トラゴス大国の象徴とも呼べる白亜の王城は、今日も朝日を浴びて神々しく輝いている。その王城から離れた場所に、ぽつんと建つみすぼらしい建物は、庭仕事の物置小屋として使われている場所でもある。  しかし、その小屋の二階。ぎしぎしと音を立てる木製の粗末な寝台で、一人の少女が静かに眠っていた。  夜明けを思わせるような曙色の髪をゆるく三つ編みにし、子どもらしいふくよかな頬にかかる短い髪の毛が、寝息と共にふわふわと揺れ動く。どんな夢を見ているのか、ぷっくりとしている唇はもごもごとしているものの、それは乾燥してひび割れていた。 「おはようございます、オレリア様」  オレリアを起こしにやってきたのは、侍女のメーラだ。彼女はオレリアの乳母だった女性の娘である。  オレリアが三歳のときにオレリアの母親が亡くなり、それを機にこんな質素な小屋においやられてしまったが、そんな彼女の身を案じて一緒についてきてくれたのがメーラなのだ。だからオレリアにとっては唯一といってもいいほどの、心を許せる人物でもあった。  瞼がぴくぴくと動き、海のような碧眼の大きな目がぱっちりと開かれる。 「おはよう、メーラ……うっ」
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