第二十話

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第二十話

 オレリアがこつこつと片付けをしていたからか、なんとか五日目にはすべての部屋の床が見えるようになった。これから、物の仕分けをしていく必要があるものの、とにかく物が多い。  不要なものはばっさりと捨てたり売ったりした。残ったものは、それぞれあるべき場所へと戻すか、物置行きなのだが。 (何かしら、これ……?)  衣装部屋の奥の奥にあったのは、謎めいた木製の箱だった。生まれたての赤ん坊は入るだろうの大きさの箱。蓋の部分に蝶番がついていて、ぱかぱかと開閉できる形をしている。宝箱のようにも見える。  好奇心からその箱を開けてみると、オレリアは目を疑った。 (どうして、こんなものが?)  箱の中から出てきたのは、女性もののアクセサリーやら衣類である。リボンに首飾りに腕輪に、そして下着やらドレスまで。 (アーネストさまのお母様のものかしら?)  じっくりと目を凝らして確認するものの、それらは真新しいものに見えた。つまり、どれもこれも新品なのだ。  心臓がドキドキとしてきた。アーネストはこれを誰に送るつもりだったのだろう。
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