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てっきり、アーネストが興味のある女性はリリーだと思っていた。しかし、あのときの彼はリリーを通して違う女性を見ていたのだ。もしかして、その女性に送るものだったのではないだろうか。
オレリアが押しかけてしまったから、アーネストが同情して、ここに置いているのでは――
(……だから、抱いてくれない? やっぱり、妻として見てもらえてない? わたしはアーネストさまの相手として相応しくない?)
そんな想いが次から次へと生まれてきて、目頭が熱くなった。
溢れそうになる涙を堪えるために、眉間に力を込めて、ふぅと息を吐く。
箱の中から適当な首飾りを手にして、オレリアは家を飛び出していた。向かう先はアーネストのところ。
この時間であれば、執務室内にいるはず。それに、ジョアンは「いつでも遊びに来てください。奥様が来てくださると、閣下の機嫌がよくなるので、僕たちも仕事がしやすいんですよ」なんて、言っていた。今となっては、その言葉の信憑性にも欠けるが。
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