第二十話

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 アーネストの執務室がある建物は、支部棟と呼ばれている。それは、ガイロ支部にある軍事棟という意味らしい。だから、ハバリー国内の主要都市部には支部棟がある。  ガイロの支部棟からは関所へとも繋がっており、兵が交代で関所の見張りをしている。  オレリアが支部棟のエントランスに姿を現すと「あ、奥様」と、アーネストの部下が声をかけてきた。オレリアがここに来た初日に、ジョアンがアーネストに「奥様を紹介してください。奥様の存在を周知させるべきです」と言ったため、その日のうちに一通り顔見せを行ったのだ。 「閣下でしたら、執務室におります。ご案内いたします」 「ありがとう」  にっこりと微笑み、礼を口にする。  場所はわかっているが、無意味に一人でうろうろと出歩くのもよくないだろう。  彼に案内されて、アーネストの執務室まで向かう。扉をノックすると、入ってくるように言われた。 「オレリアか? どうした」  お前は下がれと、案内してくれた部下に声をかける。
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